「頭ガチガチの理系男子が、覚醒して宇宙の真理を悟り、ヒーラーになった話」
第四話 恐怖体験と挫折
【前回までのあらすじ】
大学に進学し、新生活を始めた僕。
勉学、アルバイトに励みつつ、超能力開発の本を見つけ、自己探求していくことになる。
順調に能力を開発しているように見えたが。。。
【第四話 恐怖体験と挫折】
大学1年目の秋のことです。
学生生活、自己開発が順調に進んできたのも束の間、それは突然起きました。
大学の講義を受け、教室を出ようとしたとき、視線をふと下に向けた瞬間です。
突然周りが真っ暗になって、何も存在しなくなったのです。
目を開けているのにも関わらず、周りの風景、人が消え、何もかも見えなくなりました。
自分の身体もありません。
あるのは自分の意識だけです。
ほんの数秒だったと思いますが、僕にはすごく長い間に感じたのです。
そしてものすごい恐怖がこみ上げてきました。
目が見えなくなった!
僕はまずそう感じました。
すぐに病院に行ってみてもらいましたが、どこも異常はありません。
この体験が超能力の開発によってそれがもたらされていたのは何となく感じていました。
また、無理な呼吸をしていたことで、肺、心臓に痛みがでてくるようになったのです。
僕はどんどんこの開発を進めることが怖くなってきて、これ以上の開発を断念することにしました。
開発をやめてからも不思議な体験は続きました。
ある朝起きると、すごくだるくて重たい心地がしました。起きた時間が遅かったので、大学の講義に遅刻してしまうと思って、すぐに身支度をすまし、自転車で大学に向かっている途中のことです。
踏切の近くにある電信柱に産婦人科の広告が貼ってあったのですが、それが目に入った瞬間、赤ちゃんを抱いて白装束を着た中年くらいの女性がものすごく悲しみと憎しみに満ちた顔をして立っており、目が完全に合いました。
ものすごく鮮明で普通の人と変わらないように見えましたが、明らかに生きた人間の人ではないと感じました。
このような不思議な体験をすることに恐怖を感じるようになりました。
さらに頻繁に金縛りにあい、奇妙な声や気配を感じることが増えていき、睡眠もあまりとれなくなっていきました。
もうこんな体験をするのは嫌だ!
こうして僕は自分の感性を封印したのです。
それからというもの、不思議な体験はなくなっていき、僕は普通の大学生になっていきました。
そして世の中の出来事を科学的な視点でとらえるのが主になっていきました。
当時、アメリカ畜産牛の狂牛病、BSE(牛海綿状脳症)問題が起きてそれほど時間が経過しておらず、そのメカニズムに非常に強い興味を持っていました。
我々の身体はセントラルドグマというシステムによって成り立っています。
DNAの複製、DNAからRNAへの転写、RNAからタンパク質への翻訳という一連の流れのことをいいます。
これは細菌などの原核生物から我々人間に至るまで、すべて同じ流れです。
一部、RNAウイルスは、宿主に感染すると、ウイルスのRNAからDNAに逆転写し、それを宿主のセントラルドグマを利用して、ウイルスを増殖させるということをしますが、ほとんどの生物は通常のセントラルドグマに従っています。
狂牛病の原因は何かというとプリオンという異常なタンパク質です。
タンパク質は3次元的な構造をしており、綺麗に折りたたまれて初めて機能を発揮します。
例えタンパク質のアミノ酸配列が同じでも、折りたたまれ方が違うと機能を発現しません。
狂牛病は、プリオンの異常なたんぱく質構造が、正常なたんぱく質にも伝播し、それが脳内や神経組織に蓄積してしまうことでおこります。
タンパク質からタンパク質へと感染するのです。
これは基本的原理、セントラルドグマに反しています。
ではなぜそのようなことが起きるのでしょうか。
その理由は共食いです。
牛、羊、豚、ニワトリなど食用動物の死体から食肉を採取した残りのくず肉は調理 されて脂肪製品と肉骨粉が作られます。
それらは栄養価が高いので、家畜のえさとして用いられているのです。
家畜は強制的に共食いをさせられていることになります。
実はこの共食いという行為が、プリオンを体内に蓄積させ、狂牛病を引き起こすことに繋がっているのです。
実はこれは家畜に限った話ではなく、人間でも起きており、クロイツフェルト・ヤコブ病やクールーとして知られています。
パプアニューギニアのフォア族という部族には人を食べる儀式がありました。
それは血みどろの争いから共食いに発展しているというものではなく、なくなった人の肉を感謝と敬意をもって食べるのです。
しかし共食いをすることでプリオンが蓄積され、同様の病に陥ってしまうのです。
これは共食いをしたから神の裁きが下ったとかそうゆう話ではありません。
自然の法則として、共食いをすると異常プリオンが蓄積され、それが正常なたんぱく質にも伝播して死ぬことになるということです。
そして共食いをする生物種や種族は滅んでいくことになります。
神という存在がいるわけではなく、ただ自然の法則があるだけです。
別の言い方をすれば神=自然法則かもしれません。
僕はこうして自分の第六感に蓋をし、無神論者になり、学生生活を過ごすようになりました。
再び第六感の封印を解く時が来るのですが、それはまだまだ先の話です。。
【次回予告】
大学三年生の春、塾講師のアルバイトを始めた僕。
そこで僕の人生における大きな出会いがあり、僕の人生観が大きく変わっていくことになる。。
そして新たな目標に向かって進み始める。
次回お楽しみに!
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